ヨガで心の平穏を高める。内側に意識を向けるシンプルな方法

ヨガや瞑想の時間に「内側に意識を向けましょう」と言われたことはありませんか?

ヨガは体と心を一体として整えることを目的とした実践的な方法です。

ポーズ(アーサナ)や呼吸法(プラーナヤーマ)を通じて身体を動かし、呼吸を整え、心の状態に意識を向けることで、自分への気づきを高め、精神的な平穏を育むための鍵となります。

この記事では、ヨガを通じて内側に意識を向けるための具体的なコツを紹介します。

内側に意識を向けるとは?

「内側に意識を向ける」とは、自分の内面(身体や呼吸の感覚、心の状態)に気づくことを指します。

ヨガの教えによれば「意識を内側に向ける」ことは、自分の本質に気づき、心の平穏を得るための実践とされています。

インドのヨガ経典『ヨーガ・スートラ』では、プラティヤハーラ(Pratyahara)という教えが「感覚を内側に引き戻す」ことを意味し、内的意識を高める重要なステップとして解説されています。

ヨガ講師
さとみ

プラティヤハーラは、外部の感覚刺激から離れ、内側の意識に集中することを指します。

これは、「他人の意見や外界の出来事に振り回されず、自分の内側にある感覚や気づきに集中する」ことを意味します。

『ヨーガ・スートラ』では、感覚をコントロールし、内なる平穏を見つけることで、心身の調和と解放に至ると述べられています。

意識を外側に向けすぎると「自己批判」が強まる理由

日常生活では、私たちの意識は外の世界(仕事、家事、他人の評価、SNSの情報など)に向きがちです。外側に意識が向いている状態では、他人からどう見られているかを基準にしてしまいがちです。

「良く見られたい」「失敗して恥をかきたくない」という思いから、自然と社会的な評価軸に沿った「理想の自分像」を作り上げてしまいます。

その結果、理想の自分と今の自分を比較し、

  • 自分はまだ足りない、もっと頑張らなきゃ
  • 周りの人はもっと上手くやってるのに、これぐらいできないとダメだ
  • 失敗したら自分の価値がなくなる

などと自分に厳しい言葉をかけてしまいます。

私たちが外の世界に意識を向けすぎると、他人からの評価や期待を過剰に気にしすぎたり、他人との比較がやめられなかったり、外部の「正解」に依存してしまったりすることにつながります。

その結果、自分の本当の感覚や感情を無視して、自己批判が強まる傾向があります。

意識を内側に向けることは、自己受容の第一歩

ヨガや瞑想を通じて、外部の影響を一時的に切り離し、自分自身の体調や感情、思考など、今の自分の状態を感じ取ることができます。

例えば、

  • 疲れているのに頑張りすぎている自分
  • 不安を感じているのに笑っている自分
  • 体が緊張しているのに、気づかずに放置している自分

など。

この気づきが「自己受容(自分を大切にする)」の第一歩となります。

内側に意識を向けるためのコツ

ここでは、ヨガを実践する際に「内側への意識を向けるためのコツ」をまとめていきます。

1. 呼吸に集中する

ヨガの基本の一つが呼吸です。呼吸は身体と心をつなぐ重要な要素であり、深くゆったりとした呼吸は心を落ち着け、身体の感覚に意識を向ける手助けをします。

まずは深い呼吸を意識的に行い、息を吸うときにお腹が膨らみ、吐くときにお腹が引っ込む感覚を感じることが大切です。

呼吸のリズムを感じたり、呼吸が体のどこに感じられるかを観察することで、内面に意識を向けることができます。

2. 身体の感覚を感じる

ヨガのポーズでは、筋肉や関節の感覚を感じながら行うことが重要です。

ポーズを取るときに、身体がどのように動いているのか、どこに力が入っているのか、またはどこがリラックスしているのかを感じましょう。

これにより、身体の内側に注意を向け、ポーズの深まりとともに内面的なつながりを感じやすくなります。

無理せず、自分が感じる感覚に正直になることが大切です。もし痛みや不快感を感じたら、その部分に意識を集中し、無理せず調整を行いましょう。逆にリラックスして心地よい感覚が得られる部分には、その感覚を存分に感じることが重要です。

3. 目を閉じる

視覚を遮ることで、外部の刺激から解放され、内側に意識を向けやすくなります。

ポーズを取る際に目を閉じると、身体や呼吸の感覚に集中しやすくなります。

視覚がなくなることで、内面的な気づきが増し、心が静まることがあります。

4. 重力を感じる

ヨガのポーズでは、重力との関係を感じることが大切です。

例えば、立位のポーズでは足裏がしっかりと地面に接している感覚を意識し、地面に吸い付くように足を使うことが求められます。

仰向けや座位では、背骨や骨盤がマットに沈んでいく感覚を感じ取りましょう。この「重力を感じる」ことによって、身体の中心軸や自分の身体の位置を意識しやすくなります。

まとめ

内側に意識を向けるためのコツを学ぶには、繰り返しの練習が必要です。

最初は難しく感じるかもしれませんが、ヨガを続けることで自然と内面に目を向けることができるようになります。

毎回の練習で自分の身体や心に意識を向け、ポーズや呼吸を通じて自分自身と対話する時間を持つことが、内側への意識を深める鍵です。

練習を積み重ねることで、ヨガの時間がただの運動ではなく、自己探求の時間となり、日常生活においても心身の調和を実感しやすくなります。